PK戦を検証する。
●W杯国別PK戦成績 | ●勝率10割、成功率9割2分 ●圧倒的な勝負強さを誇るドイツ |
|||
国 名 | 勝 | 敗 | 勝率 | |
ドイツ | 3 | 0 | 100% | ドイツとアルゼンチンのPK戦3連勝という結果が際だっている。 特にドイツはPK戦でも強い精神力が発揮され、過去3回のPK戦でも13人のうち失敗したのはたった一人と、他国に比べてずば抜けた成功率を誇る。 3大会連続でPK戦で敗退したイタリアの悲運は有名だが、そのイタリアよりもっと苦手にしているのがメキシコ。 過去2回のPK戦で7人が蹴り、成功したのはたった2人だけ。今大会でもPK戦になれば旗色は良くない。 |
アルゼンチン | 3 | 0 | 100% | |
ベルギー | 1 | 0 | 100% | |
アイルランド | 1 | 0 | 100% | |
スウェーデン | 1 | 0 | 100% | |
ブルガリア | 1 | 0 | 100% | |
ブラジル | 2 | 1 | 66.7% | |
フランス | 2 | 1 | 66.7% | |
イタリア | 0 | 3 | 0% | |
イングランド | 0 | 2 | 0% | |
メキシコ | 0 | 2 | 0% | |
ルーマニア | 0 | 2 | 0% | |
スペイン | 0 | 1 | 0% | |
オランダ | 0 | 1 | 0% | |
ユーゴスラビア | 0 | 1 | 0% |
●ポジション成功率 | ●FWが最高の成功率をマーク ●成功率7割台ではまだ低い? |
|
DF | 60.0%(35人中21人成功) | 90年イタリア大会でvsユーゴスラビア戦でのマラドーナ(アルゼンチン)や94年アメリカ大会決勝のR・バッジョ、そして98年フランス大会でのクレスポ(アルゼンチン)のようにFWが失敗するシーンは印象に強烈に残る。 しかしデータではFWの成功率が最も高い。 94年アメリカ大会でインス(イングランド)など6人が失敗したMFともに成功率はFWより低い。 |
MF | 70.5%(61人中43人成功) | |
FW | 78.9%(38人中30人成功) |
●先攻後攻別勝率 | ●先攻のチームが確実に決めている ●最近は先手をとるほうが有利 |
||||||||
回数 | 先 攻 | 後 攻 | |||||||
勝 | 敗 | 勝率 | 勝 | 敗 | 勝率 | ||||
W 杯 | 14 | 6 | 8 | 42.9% | 8 | 6 | 57.1% | 初のPK戦となった82年スペイン大会では西ドイツvsフランス戦で後攻の西ドイツが勝利した。 94年アメリカ大会までは後攻チームが8勝3敗と勝ち越し。しかし98年フランス大会で行われた3試合のPK戦のすべてで先攻チームが勝利した。 W杯では3大会連続でPK戦敗退のイタリアが2000年欧州選手権の準決勝オランダ戦では先攻で勝利した。 最近では先手を奪ったほうが勝利する確率が高くなっている。 |
|
欧州選手権 | 9 | 3 | 6 | 33.3% | 6 | 3 | 66.7% | ||
南米選手権 | 11 | 7 | 4 | 63.6% | 4 | 7 | 36.4% | ||
トータル | 34 | 16 | 18 | 47.1% | 18 | 16 | 52.9% | ||
*欧州選手権は76年以降、南米選手権は93年以降のデータ |
●PKを先に失敗したチームの勝率 | ●PK戦での逆転勝利は至難の技 | ||||
回数 | 勝 | 敗 | 勝率 | ||
W 杯 | 14 | 4 | 10 | 28.6% | W杯では相手より先に失敗したチームの勝率はわずかに2割台。 欧州選手権,南米選手権でも先に失敗したチームの成績は1勝19敗と極端な開きがある。 W杯で相手チームより先に失敗したが勝利した例は過去4回あるが、そのうち3回は直後に相手も失敗しリードされなかったケース。 |
欧州選手権 | 9 | 0 | 9 | 0% | |
南米選手権 | 11 | 1 | 10 | 9.1% | |
トータル | 34 | 5 | 29 | 14.7% | |
*欧州選手権は76年以降、南米選手権は93年以降のデータ |
●順番別失敗率 | ||||||
1人目 | 2人目 | 3人目 | 4人目 | 5人目 | 6人目 | |
W 杯 | 25.0%(7/28) | 25.0%(7/28) | 17.9%(5/28) | 33.3%(9/27) | 42.1%(8/19) | 50.0%(2/4) |
欧州選手権 | 11.1%(2/18) | 11.1%(2/18) | 0.0%(0/18) | 27.8%(5/18) | 7.7%(1/13) | 33.3%(2/6) |
南米選手権 | 0.0%(0/22) | 18.2%(4/22) | 36.4%(8/22) | 14.3%(3/21) | 7.7%(1/13) | 50.0%(3/6) |
トータル | 13.2%(9/68) | 19.1%(13/68) | 19.1%(13/68) | 25.8%(17/66) | 22.2%(10/45) | 43.8%(7/16) |
*欧州選手権は76年以降、南米選手権は93年以降のデータ |
●成功率は6割程度 ●4番手以降にプレッシャー |
5番目に蹴った選手は極端に成功率が低い。 R・バッジョがPKをはずしたシーンは強烈に印象に残ってるが、過去14回のPK戦のうち8回は5人目の選手がPKを失敗して決着がついている。 W杯では、最も成功率が一番高いのは3番目に蹴った選手。コクー(オランダ)が失敗するまでは10人続けて成功していた。 |
●W杯でのPK戦失敗の内訳 | |||||||
1人目 | 2人目 | 3人目 | 4人目 | 5人目 | 6人目 | トータル | |
枠 外 | 4(57.1%) | 0(0.0%) | 0(0.0%) | 2(22.2%) | 4(50.0%) | 0(0.0%) | 10(26.3%) |
キーパーセーブ | 3(42.9%) | 7(100%) | 5(100%) | 7(77.8%) | 4(50.0%) | 2(100%) | 28(73.7%) |
トータル | 7 | 7 | 5 | 9 | 8 | 2 | 38 |
●強いプレッシャーの中で | 98年フランス大会までに行われた過去のPK戦で失敗した選手の総数は38人。うち、シュートを枠外に外した選手は10人で失敗の3割を占めている。 順番別では2人目,3人目に失敗した12人はすべてキーパーに止められているが、1人目,5人目で失敗した選手の半分はシュートを枠外にはずしている。 このことから、最初の選手と5番目で勝負を決める選手には他の選手たちよりも強いプレッシャーの中で蹴っていることがわかる。 |
●キャプテンで見てみると。 | |
勝 率 | |
0キャプテンがPKを決めて勝った試合 | 60.0%(10試合中6試合) |
0キャプテンがPKを外して勝った試合 | 66.7%(03試合中2試合) |
0キャプテンがPKを蹴らずに勝った試合 | 40.0%(15試合中6試合) |
●PK成功率は7割6分と高い | プレッシャーのかかるPK戦でチームキャプテンがPKを蹴るケースは意外と少ない。 過去のW杯でのPK戦14試合のうちキッカーをつとめた主将は13人。 ドゥンガ(ブラジル)94年アメリカ大会決勝のイタリア戦,98年フランス大会準決勝のオランダ戦の両試合とも主将としてPKを蹴った。 2試合ともリードした直後の4番手としてPKを決め、チームを勝利へと導いた。 彼を含めて過去のW杯での主将のPK成功率は約77%で成功したときの勝率は6割。 キャプテンが失敗しても勝利したケースは2回。 バレージ(イタリア)など3人のキャプテンがPK失敗しているが、うち2人のチームはPK戦で勝利をおさめた。 |