ドーピング問題 =ペップの場合=

●ペップの戦いは続く(2002.2.9 スペイン)
昨日、イタリアフットボール協会の上告委員会によって発表された「4か月の出場停止処分+5万ユーロの罰金」という判決は、ペップにとってもちろん納得のいくものではなかった。
これから以後、ペップの戦いは次のようなものになると予想される。

■イタリアオリンピック協議委員会内にある調停委員会調停を申し込むこと
(イタリアオリンピック協議委員会内に去年の夏創設された新たなセクション。これまでは偽パスポート問題だけを扱ってきた組織だ。したがって、ドーピング問題をこのセクションに持ち込むのはペップが最初の選手となる)

調停委員会という名前が示すように、この委員会の働きは基本的にイタリアフットボール協会とペップとの「調停」をすることに留まる。
したがって、彼が最後まで無実を証明するためには、もう一つの、そして最後の手段

■一般法廷である"最高裁判所"への訴え
ということになる。
もちろんこれまでフットボールの歴史においてあり得なかった行為である。だが、無実を証明するためには、時間がかかろうが現役生活から離れていようが、最後まで戦い抜くという強い信念を持ったペップにとって、前例はまったく問題ではない。

《記者会見でのペップ》
上告委員会の判決がたとえ1日だけの出場停止処分だったとしても僕は納得できなかっただろう。 それが4か月なんだから、そうか、わかった、なんて言えないよね。
僕はイタリア式の不思議な話のおもちゃにされたような気分だよ。 他に何を言うことがある? 裁判官が決めたことはそれが何であれ尊重しないといけないのは、民主主義に生きている我々の原則だ。僕だってもちろん尊重しているよ。

規律委員会が僕に4か月の出場停止処分を下したとき、イタリアのメディアは厳しくそれを批判した。4ヶ月なんて短すぎると批判したんだ。 それが上告委員会へのプレッシャーになったのかどうかわからないけれど、彼らが下した判決は4か月という出場停止処分をそのまま維持するという結論だった。

これまでのあらゆる前例を見てくると、必ずその期間が短くなっているにも関わらず、僕の場合はそうはならなかった。
でもそれはもういいよ。問題はそんなことではないからね。

僕も含めて全てのフットボール関係者は、今こそ本当に真剣にドーピング問題を考えなければといけないと思う。
ドーピングとはいったい何なのかという基本的なことから、本気で考えて見つめていかないといけないと思う。 これ以上、無実の犠牲者が出ることは、あってはならないことだ。

これからは、ドーピング検査にひっかかった選手を調べる際、今よりももっともっと根本的な調査が必要だ。
それは、検査によって見つかった物質が、その選手にとっていったいどのような意味があるのか。 科学的な手段によるその物質の検査が絶対必要なんだよ。

例えば、禁止物質を使用するということは、そのことによって選手が肉体的に必要なある部分を強化をするということだと思う。
だが僕の場合、ナンドロローナという禁止物質は、僕の肉体を強化することには全然なっていない。それは科学的に証明されていることでもあるよ。 それでもドーピングをしたということになるのだろうか。僕にはどうしても納得できないんだ。

残念ながら、規律委員会とか上告委員会というところには、頭だけの法律家はいても、ほんとうの科学者や医者はいないんだ。 僕たちが揃えた、科学的な事実に基づいたありとあらゆる証拠が何の役にもたたなかったことは非常に残念でならない。

そういう意味では、イタリアのアンチ・ドーピング関係者におめでとうと言いたい。彼らは目的を達成したんだからね。 これは、被告人とされてしまった人間に、自分を防御するチャンスをほとんど与えないイタリア方式の勝利と言ってもいいだろう。

だが、僕は最後まで自分の無罪を証明するために戦うよ。必要なら一般法廷に出る覚悟もできている。 一般法廷にでたら結論が出るのはずっと先になるだろうから、きっともうフットボール選手ではなくなっているだろう。そして規律委員会や上告委員会のメンバーも代わっているだろう。
それでも、僕は自分自身と、僕を信じてくれているたくさんの人たちを裏切らない。そして、自分のプライドと信念を守るために、最後まで戦っていくよ。


●軽減なし(2002.2.8 スペイン)
2月8日の午後、イタリアフットボール協会の上告委員会が開かれた。もちろんペップとスタム側によって申請された上告内容を審議するためである。
その結果、ペップには判決通りの4か月の出場停止処分、5ヶ月の停止処分を受けていたスタムは1か月短くなり4か月となった。最終的なこの結論により、ペップは3月22日から試合に出場可能となった。


●FIFA、突然登場(2002.2.6 スペイン)
イタリアフットボール協会の上告委員会が2月8日に開かれ、ペップとスタムに対し最終的な出場停止期間が決定されようとしている今日、FIFAは突然、
『ペップは4か月、スタムは5か月にわたってすべての国際試合(親善試合も含む)の出場停止を命じる』という発表を行った。
突然のFIFAの発表は、親善試合の出場停止というところにまで及んでいることも驚きである。
これは、ある国でドーピング検査にひっかかった選手を国際的に罰しようという意図をもっているようである。
しかし、この出場停止期間はドーピング検査にひっかかった時点からということであり、ペップの場合、ワールドカップの参加には影響を及ばさない。


●2月8日、上告委員会が開催(2002.2.2 スペイン)
イタリアフットボール協会の上告委員会は2月8日に開かれることに決定した。

委員会は1月24日に公表された規律委員会の判決を納得できないとして提出されていたグアルディオラ選手とスタム選手上訴内容と、ほぼ同時に検事側から出されている同じ趣旨による上訴内容を検討することになる。
規律委員会が決定したペップへの試合出場停止処分は4か月、スタムは5か月となっている。 これを短くするか、あるいは完全無罪とするか、すべてマルテリーノを会長とする上告委員会の検討次第となっている。


●上告戦争の始まり(2002.1.26 スペイン)
ペップのナンドロローナによる陽性反応問題はいまだ終わりを見ていない。
4か月の試合出場停止処分がイタリアフットボール協会から告知されたペップは、この判決を不満として、即座に上告委員会に控訴している。
だが検事側も黙ってはいない。アンチドーピング委員会のジアコモ・アイエロ検事は4か月という刑が軽すぎるとして、検事側としても控訴する準備をしていると昨日発表している。

木曜日の判決はペップにとって最初の勝利である。 1年の求刑が開廷日の午前中に9か月に縮小され、最終的な判決は4か月になったのだから。
だが、これが最終勝利でないことも明らかだ。
彼の目指すものは、最初から"完全無罪"を勝ち取るための戦いだからだ。 それが判決後、即座に上告委員会への控訴という形になってあらわれた。 一つは無罪を勝ち取るために、そしてもう一つは(現実的な意味で)4か月という出場停止期間の縮小を狙ったものである。
これまで過去の多くの例が示すように、上告委員会は刑の縮小を行ってきている。 ペップにとっても可能性が大きいことだろう。
4か月の制裁は今のところ3月22日からの試合出場を可能にしている。だが、もちろん早ければ早いほどいいにきまっている。

ペップに下った"4か月の出場停止処分"というのは、これまでのドーピング裁判では例を見ない短いものであったため、検事側の控訴も当然予想されたことだった。
アイエロ検事の趣旨は、彼が求刑した9か月という出場停止期間になるべく判決を近づけることにある。通常、この上告委員会の結論は、控訴してから2、3週間かかるものとなっている。


●検事側も上告予定(2002.1.25 スペイン)
アンチドーピング委員会のジアコモ・アイエロ検事は、イタリアフットボール協会が昨日ペップ・グアルディオーラに科した4か月という出場停止処分は軽すぎるとして上告する考えを語った。


●判決の翌日(2002.1.25 スペイン)
ペップ・グアルディオラは、まず最初の戦いに勝利した。
だがこの勝利は、彼にとって"一時的勝利"でしかない。
なぜなら、彼にとってこの戦争は"完全無罪"を勝ち取った時、初めて本当の勝利となるからだ。 つまり、決して禁止物質を摂らなかったことを完全に立証して初めて勝利する戦いなのだ。

《グアルディオラ》
もちろん判決の結果にそれなりの満足はしているよ。 規律委員会のオフィスに入る前には1年の出場停止処分という状況だったのが、終わってみれば4か月ということになったわけだからね。
つまり弁護士、ドクターそして代理人、みんなが緻密な証明をしてくれて勝ち取った一時的勝利と評価していいと思う。

次の戦いの勝利のためにも、ペップは今日にも新たな行動を起こす。ローマにある上訴委員会に対し、判決を不満として上訴手続きをとるのだ。

《グアルディオラ》
俺は遅かれ早かれ自分の無罪を証明できると思っているよ。なぜなら、俺は無罪だからね。とても簡単な理由さ。
ぼくらは科学的な証拠を持って、新たな戦いに入りたいと思う。

上訴委員会における"恩赦としての軽(刑)減"の可能性については、

《グアルディオラ》
難しいだろうね。でも挑戦してみる価値はあるかもしれない。 それが完全勝利に向けた第一歩となる可能性もあるからね。
でも、この戦いがとても難しいものになることはよくわかっている。 被告人に一度加えられた判決に対し、裁判官がそれを短くするということは大変なことだよ。何らかの明確な理由がなければできないはずだ。
だが同時に、4か月という制裁を加わえられたということも、彼らは何らかの理由を見つけているということになる。
もし刑が短くなったとしても、そしてそれさえ本当はとても難しいことではあるけれど、根本的な問題はまったく解決されていないんだ。
だからこの戦いは長いものになることは間違いないよ。僕は覚悟を決めている。

だがこの4か月という制裁期間により、ペップのワールドカップ参加の現実性もかなり濃くなってきた。彼もその事実を認めながらも、慎重に口を開く。


《グアルディオラ》

カマーチョはバカじゃない。日本には彼が適任と思われる選手を連れていくよね。
名前だとか経験だとかは別として、ワールドカップでの試合に最適と思われる選手をね。

今の俺の現状を見れば、ワールドカップはまだまだ遠い先のこと。 だって僕は、試合出場を禁止されている立場の選手であることには変わりないんだから。
確かにカマーチョは僕を信頼してくれている監督の一人だ。 でも、現在プレーすらできない人間を、今の段階で彼が考えるわけがない。
3月に復帰したとして、そしてそれ以降良いプレーができるるようになって、カマーチョが僕を認め、呼んでくれれば最高だと思う。
でも、もしダメだったら諦めるしかないし、それはそれでしょうがないことだと思っているよ。

ペップはこう語りながらも、ワールドカップへの出場は彼の夢であることには違いない。非常に誇りに感じることであるとも言っている。
だが今の彼に最も重要なことは、"最終的な勝利"を勝ち取ることだ。自分の無実を証明することだ。
彼はフットボールをしにイタリアに来たのであり、ドーピング問題の主役になるために来たわけではないのだから。
彼の制裁は3月22日に切れる。


●ペップ、上訴へ!(2002.1.24 スペイン)
イタリアフットボール協会の規律委員会によって4か月の出場停止処分を受けたペップは上訴の準備を始た。

《グアルディオラ》
この裁判は、まだ試合の前半が終了しただけなんだ。
これまでは耐久力がとても必要な試合だった。そして今日出た結果にはそれなりに満足しているよ。
でも、ほんとうの闘い、後半戦がこれから始まるんだ。
今度の相手は上訴委員会。4か月という処分だったから上訴するわけではないよ。
有罪だったから上訴するんだ。
もしこれがたとえば1日だけの出場停止処分だったとしても、有罪と宣告されていたら俺は上訴していたよ。


●ペップ、4か月のみ!(2002.1.24 スペイン)
イタリアフットボール協会は最終的に、ペップに対し4か月の出場停止処分を言い渡した。
これでペップのワールドカップへの出場の可能性は大きくなった。
また、スタム選手は5か月の出場停止処分となった。


●求刑を1年から9か月に(2002.1.24 スペイン)
1年間の出場停止処分を要求していたイタリアオリンピック競技会は、今日の訴訟で3か月軽減し、9か月の出場停止処分を委員会に請求した。
その理由は"ペップは意識的にドーピングしたとは思えない"というものだった。
まずスタートはよし。


●将来をかけた日(2002.1.24 スペイン)
【予想される今日の訴訟手続き】
■一切のメディアは排除 関係者以外は出席は認められていない。
ペップは二人の弁護士(コル・ヘリングマン、トマッソ・マルチェッセ)とドクターのコスタンソ・モレッティ、そして彼の代理人のオロビッチ氏と一緒に出廷することになっている。

■委員会側は責任者ステファノ・アザーリ氏が出席。
まず最初に、弁護士のコル・ヘリングマンがペップの弁護を始め、その後ドクターのコスタンソ・モレッティが医学的見地から発言。
次にもう一人の弁護士のトマッソ・マルチェッセが弁護を始める。
最後に委員会側からの要請があれば、ペップも発言することになっている。

■委員会側が必要とするいくつかの質問が行われ、訴訟手続きは終了する。
閉廷後、委員会側が集まり会合を開いた後、最終的な判決が発表される。
これまでの例では、判決は閉廷後2,3時間後に発表されている。

【予想される今日の弁護】
ペップの肉体的な特徴、もちろん医学的見地から見た彼の特徴を、これまでの検査をもとに公表する予定。
ペップの体から摂取した脂肪資質からはこれまでドーピングにひっかかるような物は一切発見されなかったこと。
また、バルサ時代からラモン・セグーラ医師が彼に与えていたという「複合ビタミン剤」には検査の結果、何も怪しいところは発見されなかったこと。
そしてカタルーニャとチリ戦の親善試合後にペップが自主的に行ったドーピング検査の結果は陰性反応しか現れなかったこと、など。


●あと4日(2002.1.20 スペイン)
最終判決が下されるのは今月の24日。

出席はイタリアフットボール規律委員会から4名、そしてペップの弁護士が2名。
弁護士が提出する陳述書(16ページ)には、専門ドクターの証言と、彼のこれまでの清廉潔白な日常についての細かい分析が書かれている。
ペップの陽性反応問題はアンチドーピング委員会において"114/2001"として記録されている。

訴訟手続きの最高責任者アイエロ検事は、最終判決には参加しない。
彼の仕事はすでに"1年間の出場停止処分"とした書類をイタリアフットボール協会に提出した段階で終わっている。 そしてこの処分は、ダービッツ(ユベントス),フェルナンド・コウト(ラツィオ),ステファノ・トリッシ(パルマ)達と同じように"4ヶ月の出場停止処分"に短縮されることもすでに暗黙の了解事項となっている。

しかし、彼等とペップが大きく違うことは、 たとえばダービッツは、最終的にリーグ戦では7試合欠場したにすぎない。フェルナンド・コウトは8試合の欠場。しかしペップの場合は、昨年の11月22日以来、強制的な『臨時的出場停止処分』により、現在までにすでに13試合の欠場を余儀なくされている(リーグ戦9試合,カップ戦4試合。今日現在)。

したがって、24日にたとえどのような判決が下りたとしても、ペップに対して、イタリアで起きたこれまでのドーピング問題では最高の『刑罰』がすでに執行されている事実がある。


●苦い味の誕生日(2002.1.19 スペイン)
1月18日、ペップは31回目の誕生日を迎えた。

今年の誕生日ほど彼にとって苦い味のするものはなかっただろう。
午前中は、ブレシアの仲間たちとともに"プロ選手としての義務"としての練習。これは"明日の試合のための練習"ではなかった。 午後、家族だけの誕生日を迎えた。彼の人生はじめての、遠い異国での苦い誕生日を。
その彼の心に重くのしかかるのは、出場停止という今の状態と間近に迫った判決だった。
結論が出るのは24日。誕生日を迎えたペップに厳しい嵐が襲っている。

〔これまでのペップの誕生日〕
・1991年/1990年12月16日のカディス戦でデビューした彼は、それから約1か月後に誕生日を迎えた。
デビュー後のチームは一部と二部と行ったり来たりしており、あまり多くの試合には出場していない。
このシーズンは、クライフ率いるバルサが初優勝を成し遂げた記念すべき年だった。

・1992年/彼にとって、そしてバルサにとって素晴らしい年だった。
リーガ優勝,ヨーロッパチャンピオン,スペインスーパーカップ,バルセロナオリンピック優勝。
そして彼個人としての名誉は、アルベルティーニ(ACミラン)と争って勝ちとった"トロフェオ・ブラボー"賞。
バルサが、そしてペップが全てを成し遂げ勝ち取った、最高の年になった。

・1993年/3シーズン連続リーグ優勝。スペイン,ヨーロッパスーパーカップ優勝。

・1994年/2位で迎えた最終戦、ジュキッチ(ラコルーニャ)のPK失敗によってバルサが4年連続優勝を飾る。

・1997年/ロブソンバルサの年。苦しい1年だったが、国王杯,カップ・ウィナーズ・カップ優勝,スーパーカップも勝利するなど、ペップには忘れることのできない年だ。

・1998年/ファンハール政権の1年目。 多くの批判を浴びながらもリーグ優勝と国王杯、そしてヨーロッパスーパーカップ優勝。
しかしチーム内やサポーターたちから監督批判が吹き荒れる。

・1999年/ブラウグラーナとして最後の優勝カップを高々と上げた年。


●"判決"まで後10日(2002.1.15 スペイン)
1月14日、イタリアフットボール協会が主催したドーピング問題に関する会合がミランにあるホテルの会議室を利用して行われ、グアルディオラも召喚を受けた。

この会合の目的は、現在イタリアで問題になっているドーピングについて色々な角度から分析するためのものだった。

この会議を招集したのは、イタリアフットボール選手組合の責任者セルジオ・カンパーナ。
参加した選手たちはグアルディオーラの他に、アルベルティーニ,カンナバロ、トンマージ,シニョーリなど。

セルジオ・カンパーナは、4時間にわたって行われたこの会議でグアルディオーラの個人的問題を語ることはなかったと発言。あくまでも一般的な"ドーピング問題"について意見が交わされたという。
いくつかの問題が提起されたが、グアルディオーラが語ったのは次のようなことだったという。

《グアルディオラ》
裁判では普通、訴えた側が被告人の有罪を証明しなければならない。
しかしドーピング裁判は、なぜか訴えられた側が無罪を証明しなければいけないことになっている。これは大変な矛盾だと思う。

当然、複合ビタミン剤の問題も話された。
 1.ビジネス的関心から、たくさんのビタミン剤供給会社が存在すること。
 2.複合ビタミン剤そのものの成分の明確な説明がなされていない場合が多々あること。

ペップは10日後に迫った"判決"を前に、あらゆる可能性を考えてその後の準備を進めていくことになる。


●少し明るいニュース (2002.1.11 スペイン)
カタルーニャ代表対チリ戦が行われた12月28日。 ペップは試合後、自主的にドーピング検査を受けた。
そしてその結果が昨日明らかになった。ペップには陽性反応は現れなかったのだ。
だが、この検査結果はあくまでも参考資料としかならない。
今月24日に行われるローマのイタリアフットボール規律委員会での最終審査ではあまり役立つものとは言えないだろう。
しかしその日、出場停止処分が出たのち、控訴することをすでに決めているペップ側としては、その控訴時に一つの参考資料として提出する可能性はある。


●インテルの選手たち、ペップの無罪を信じる (2002.1.11 スペイン)
寒いミラノでの練習を避けて一昨日からマジョルカでミニ合宿を行っているインテルの選手が、ペップについて語った。

《コンセイソン》
最終的な判決が下りる前に、すでに仮の出場停止期間を定めるのはおかしいことだと思う。
しかも対象とされている選手たち、ペップやスタムのような、この世界で成功している選手が、自分の意志で禁止物質をとるというのはどう考えてもおかしな話しだよ。

コンセイソンが語るまでもなく、少なくとも意識的にペップが禁止物質をとるわけがないということをインテルの選手たちは信じている。

《ファリノス(元バレンシア)
何かがおかしいんだよ。普通では考えられないことだからね。
状況的にワールドカップの1年前にこういうことが起きるというのも、なんかひっかかるな。
納得ができないよ。

《サネッティ(アルゼンチン代表)
あまりにも偶然の要素が多すぎると思わないかい? 
まず、ほとんどが外国人選手であること。
それにほとんどが最近イタリアに来たばかりの選手たちだよ。
おまけにワールドカップの1年前。どう考えてもおかしいよね。僕には理解できないな。


グアルディオラとスタムの判決は24日に (2002.1.9 スペイン)
二度のドーピング検査で陽性反応が出たペップに対するイタリアフットボール規律委員会による判決は、今月の24日に出されることになった。

ペップは当日、ローマにある規律委員会のオフィスで、朝の9時半から行われる最後の供述を行い、その後、規律委員会会長のステファノ・アザーリ氏により最終的な判決がおりる。
また、ラツィオ所属のヤープ・スタムに対する判決も、同時に出されることになっている。

多くの関係者が見るところによれば、ペップはスタムと同様に、最少制裁期間である4か月の出場停止処分となりそうだ。

だが、フランク・デブールやフェルナンド・コウトの場合と異なり夏休み期間が挟まれないため、事実上丸4ヶ月の出場停止となる。


●新たな発見 (2002.1.6 スペイン)
オランダオリンピック競技委員会が独自に"複合ビタミン剤に禁止物質が含まれる可能性"をテーマに研究を行い、その結果が発表された。
それによれば、すでに合法化されている複合ビタミン剤のうち、実に25%のものがドーピング検査にひっかかる可能性がある。

問題は、ビタミン剤だけを調べただけでは禁止物質は出てこないが、ビタミン剤を摂った後にコーヒーやコーラを飲んだとき、体内に禁止物質が製造されるということがはじめてわかった。

オランダオリンピック競技委員会がこの調査を行った理由は、今年の冬季オリンピックが開催されるソルト・レーク・シティーに参加する自国の選手をドーピング検査から守るためだった。

研究によれば、55種類の合法化されている複合ビタミン剤を調べたところ、ビタミン剤そのものだけを分析した限りでは禁止物質は発見されなかった。
しかし、いくつかの飲み物と混ぜたり、急激な温度の変化を与えると禁止物質が発見されることも新たにわかった。
また注目すべきことは、土地の高度の変化でも、ビタミン剤そのものが変化する可能性も発見された。(ソルトレイク・シティーは高度1,425mに位置している。)

一方、1月2日の"ゴイコエチェア引退試合"に参加したペップは、試合終了の翌日イタリアに戻り、ブレッシアですでに練習に参加している。

彼に対する最終的な制裁は今月の末に下される。
だが、その判決に対して控訴する可能性も十分あり、彼の弁護士やドクターたちはそのための新たな無罪証明に向けて準備中である。


●一日たって (2001.12.30 スペイン)
ペップのカンプノウへのたった一日だけの復帰。
だが一日だけでも、彼のカリスマ性の再確認と、彼の無実を信じる人が大勢いるということの証明になった。
イタリアのアンチ・ドーピング検事がペップの無罪を疑うことはあっても、ここでは、つまり彼を知っている多くのバルセロニスタにとっては、彼の無実は火を見るよりも明らかなことだ。
試合後、グアルディオラは皆に感謝の言葉を述べ、こう語った。

《グアルディオラ》
ようやくフットボール選手に戻った気がするよ。
今までもそうであったように、いつも僕のそばにいてくれる人々にとても感激している。
しかし、無実を証明するのはファン投票によってじゃないのもわかっている。
裁判所で正真正銘の勝利を勝ち取らねばならないし、今日はそのためにも、たくさんの人たちからエネルギーをもらったような気分だ。

ナンドロローナによる陽性反応が発見された当初、ペップの無実を証明する戦いの方針はラジカルなものだった。
つまり完全に無実が証明されるまではグランドに戻らないというものだった。
だが時間の経過と共に、家族や友人との会話が続く過程で変化が起きている。

《グアルディオラ》
このごろ、僕をとってくれたクラブのことも考えなければならないと思うようになった。
ブレッシアの会長やファンの人々にはとても感謝している。
だからもし短い制裁だったらグランドに戻ろうかとも思っている。
でもそのことは最終段階での戦いを放棄する意味ではもちろんない。 最後の最後まで無実を証明する戦いは続けていくよ。


●ペップ「ありがとう、本当にありがとう!」 (2001.12.29 スペイン)
昨日はペップにとって、本当に久しぶりに訪れた幸せな一日だっただろう。11月22日にナンドロローナによる陽性反応事件以来、難しくも苦しい日々を送ってきたペップ。だが昨日は彼の仲間と、そして彼と同じ血が流れる人々に囲まれ、再びフットボール選手として感じられる一日を過ごすことができたのだから。

試合の行われた12月28日は、奇しくも彼の友人のセルジや娘の誕生日と同じ日だった。
しかもそのステージは彼が長年親しんできたカンプノウ。
ペップは、かつて同じ時間を共有し、同じユニフォームをつけて戦った同僚であるルジェーやセラーデス、そしてオスカーなどと久しぶりに一緒にプレーすることができた。

この日はカタルーニャのお祭りであって、決して彼の個人的なフィスタにしてはいけないと思っていたペップは、主役としての存在を拒否し、ひたすら11人の中の一人として振る舞おうとしていた。
だがこの日カンプノウに集まった6万人のファンは、彼に終始暖かい声援を送り続けた。
そして後半6分にチャビと交代する瞬間、スタンディングオベーションでの大きな拍手がペップの背中に向けられた。

《グアルディオラ》
カタルーニャ代表というのは、それがエスパニョールの選手だろうがバルサの選手だろうが、ほとんど小さいときから一緒にプレーした選手なんんだ。
だから前もっての練習なしでもじゅうぶんお互いを理解しあいながらプレーできる。

今日は本当に楽しい一日だった。
カタルーニャに生まれ、カタルーニャで育ったということがこんなに素晴らしいことだったのかとも思う。
いつか、そう、いつか、どういう方法かもわからないけれど、このお礼をファンの人たちに必ずしたいと思う。
この土地に生まれバルサの選手として長いことプレーできたという事実に、今日は特別に感謝したい。


●アイエロ検事、驚く (2001.12.19 スペイン)
ペップが持参した、過去に受けた18回のドーピング検査の報告書を見てアイエロ検事は驚いた。
なぜなら、イタリアではペップのようなベテラン選手になると、少なくとも80回はドーピング検査を受けているからだ。
持参した報告書のうち12回がバルサ選手として、6回がナショナルチームの選手としてのものであった。
これは、これまで一度も陽性反応が過去に出ていないことを示す重要な証拠書類である。

もう一つアイエロ検事が驚いたことは、ペップの正直な対応だった。
アイエロ検事はペップに対して、これまでのドーピング問題で対面した選手とはまったく違う印象を受けたと発言している。
それは、ペップが陽性反応を確認したドーピング研究所にも、そしてその機械にもまったく疑いを持っていなかったからにほかならない。
これまで、陽性反応の出た多くの選手は検査そのものを疑い、反論してきていた。
そして、中にはアイエロ検事の前に出頭してこない選手も多数あった。
例えば、つい先日、10か月の出場停止処分を受けたヤープ・スタムは一度も出頭してきていない。

ペップの真摯な態度は、アイエロ検事に好印象を与えている。
検事はペップの人間性を知り、それにともなって個人的印象は素晴らしいものになった。


●結論はなぜ延びたのか。 (2001.12.19 スペイン)
《グアルディオラ》
私はドクター・セグーラを信用している。
だから彼の持参した総合ビタミン剤をこれまで飲んできた。

これがペップが何度もアイエロ検事に対し語った言葉だ。
ドクター・セグーラは4年も前からバルサの選手に同じものを供給していて、それは今現在も続いている。
その総合ビタミン剤をとっていたペップは、バルサ時代には一度も陽性反応をおこさなかった。
だから当然のごとくドクター・セグーラの持参するビタミン剤を利用するペップ。

アイエロ検事が週末までに結論を延ばした理由は、この総合ビタミン剤を分析するためであった。
今、このビタミン剤はドイツのケルンにあるオリンピック協議会のアンチ・ドーピング検査にかけられている。
結論はその結果待ちになっている。


●結論は早くて金曜日 (2001.12.18 スペイン)
今日行われたジアコモ・アイエロ検事による“取り調べ”は2時間半かかった。
取り調べの大部分は、ペップの証言と弁護士たちによる“無罪”証明の説明にあてられた。
その結果、ジアコモ・アイエロ検事は最終的な決断を今週末まで延ばし、もう少しペップに対する検証を続けるとのこと。 結論が出るのは、早くて金曜日になる。


●ペップ、今日イタリアオリンピック協議会事務所へ (2001.12.18 スペイン)
ペップの今日の相手はロナウドでもトッティでもない。 イタリアのジアコモ・アイエロ検事が相手だ。
彼は才能にあふれ、長年アンチ・ドーピングに携わってきている弁護士である。
だがペップにとっては、これまで以上の大事な試合であることは間違いない。
試合開始は午後3時。イタリアオリンピック協議会のオフィスでホイッスルが鳴る。

昨日ペップはローマで、コル・ヘーリマン弁護士(オランダ人),トマッソ・マルケッシ弁護士(イタリア人)、そして彼の代理人であるオロビッチ氏の3人と一緒に、今日の取り調べに対する最後の作戦会議を夜遅くまで続けていた。
ペップを弁護するための基本的なテーマとしては、ナンドロローナをとっていないことを主張することから始まる。
もし、陽性反応が正しいのであれば、他の何らかの理由からのものか、あるいはナンドロローナ汚染されている物質を無意識的にとってしまったということを理解してもらうように努めることだ。

最近、ペップの思いはかなり複雑なものになってきている。
過去2度行われた“再検査”での陽性反応と規定量をオーバーしている数字のデータは、彼の無罪を主張するのは難しい証拠となっているからだ。

当初、彼はいっさいの“減刑”を認めず、“無罪”か“有罪”というラジカルな主張をしていた。しかし時が経つとともに(弁護士たちの強固な説得も踏まえた上で)、条件付きの“減刑”を受け入れる可能性も考え始めたようだ。
例えば、今後1年間にわたるドーピング検査を常に受け入れるというような条件も考えている。


●もう一つもアウト (2001.12.12 スペイン)
イタリアオリンピック協議会は、一昨日行ったペップの再検査(11月4日のラツィオ戦の後のもの)の結果を発表したが、予想されたとおりそれも規定量を超えたものだった。
これで、ペップにとって最後に残されていたかすかな望みも消え去った。

だが、具体的にどのくらいの量のナンドロローナが発見されたかはまだ公表されていない。

ペップの弁護士は、最初の検査の結果よりは大分低い値のものだったと発表している。
だがペップは、この結果を待つ以前から無実を証明するための新たな実験をはじめた。

それは、自分の体を使って、“自然発生的に自分の体内でナンドロローナが作り出される可能性”を証明しようとするものだ。この証明は限りなく難しいことだが、不可能ではない。

ペップは先日、ブレシアから、わずかな期間ではあったがバルセロナに戻ってきた。
そこで彼がしたことは、ブレシアでの生活とまったく同じリズムの生活をすることだった。
同じ時間に起床し、ブレシアでとっている朝食と同じものをとり、12時45分から15時までブレシアでの練習と同じ運動をおこなう。
それだけではなく、1試合に使われるエネルギーを想定した上での、ボールを使った練習まで個人コーチと行っていた。

その後ペップはサン・クガット(バルセロナ)にある(スポーツ研究所(CAR)に行き、いくつかの検査を受けている。

この事実は、ブレシアには知らされていない。なぜなら彼は現在カルチョに所属する選手であり、イタリアでの検査しか今のところ公式には認められていないからだ。
イタリア・アンチ・ドーピングのジアコモ・アイエロ検事は、18日にもペップを召集し取り調べを行うつもりだ。
それまでの短い期間に、ペップはできる限りの実験をし、資料を揃える覚悟でいる。


●厳しい戦いの始まり (2001.12.08 スペイン)
この日の再検査は、誰もが予想していたように最初の検査の結果を確認するものとなった。
と同時に、機械にミスはなかったという証明を行ったものだった。
来週の火曜日には、もう一つ、ラツィオ戦後の陽性反応に関する再検査が行われる。しかし、すでにペップの戦いは新たな展開を迎えている。

昨日の結果に対するイタリアオリンピック協議会の裁決はまだおりていないが、ペップにとって少なくとも2,3か月の出場停止処分の可能性が高くなった。
これからの戦いは“機械のミス”という可能性を除いた科学的な分析によるものとなってくる。
そしてそれは、非常に長く厳しい戦いとなる。

ペップは今日から、彼の無実を証明する新たな準備をすることになった。
彼の方針ははっきりしている。
禁止物質を使用していないことが証明されるまで、決してグランドには戻らないこと。
もっとも重要なことは、彼に対して汚れたイメージを与えた“犯人”を捕まえること。
もし、それが不可能なら、引退をも辞さない覚悟でいる。

彼のもっとも望んでいること、それは事実を明らかにすることだ。


●再検査も陽性反応 (2001.12.07 スペイン)
イタリアオリンピック協議会のアンチ・ドーピング研究所で昨日行われたペップの再検査はやはり陽性反応であった。

だが、これは前もって充分に予想されていた結果である。
なぜなら、この研究所でこれまでに行われた再検査で、前回の結果を覆したケースはいままで一度もないからだ。

したがって、このことに関してペップだけではなく、彼を擁護する関係者の間にもそれほどショックはない。

また、来週の火曜日にも再び再検査が行われる。
それはラツィオ戦の後に確認された陽性反応に関するもの。

いずれにしてもペップの無罪証明の戦いは始まったばかりだ。
あらゆる科学技術を駆使して、ペップの無罪を証明する長い道程は、まだはじまったばかりだ。


●最初の再検査 (2001.12.6 スペイン)
今日、ローマのアンチ・ドーピング研究室で朝の9時からペップの再検査が始まる。

この再検査は、最初のナンドロローナ陽性反応が発見された10月21日のピアチェンツァ戦後の検査に関してのものとなる。
ペップはこの再検査に、2人の弁護士、トマッソ・マルケッシとコル・ヘーリマンとともに立ち会うことになる。
また、ブレシアのドクターであるエルネスト・アリチッコ氏、ペップの代理人オロビッチ氏も参加する。

ドーピング検査を行う場合、選手からとった尿を半分にわけ、一つは検査用に、残りの半分は再検査用に使われることになっている。
したがって、今日行われる再検査は、再びペップから尿をとるわけではなく、ビアチェンツァ戦後にとられた尿の残りを使用するものとなる。

過去の例を見る限り、この再検査に期待する明るい材料は何もない。なぜなら、この再検査で前回の結果を裏返す結論が出たことはないからだ。


●クライフの意見 (2001.12.5 スペイン
ペップに起こったナンドロローナ疑惑は、クライフにとっても関心の深い問題だ。 彼は現在のドーピング検査のあり方に疑問を投げかけている。

《ヨハン・クライフ》
スタムやペップのナンドロローナ問題が出てきたとき、それぞれの専門家が集まって、もう一度ドーピング問題を考える必要があったのではないか。
新しい基準を、もちろん今までのものよりもっと優れた科学的な基準問題を模索するために。
結果的にそういう会合はもたれなかったし、いまだにナンドロローナ問題は霧の中という感じだ。
このような状況はフットボール選手に限りない打撃を与えていると思う。


●ナンドロローナ問題に不安を持つクレスポ (2001.12.5 スペイン
ラツィオのアルゼンチン選手エルナン・クレスポが、ドーピング問題について不安を隠さず語っている。

《エルナン・クレスポ》
ナンドロローナ問題をはっきりさせるために、僕たち選手はストライキという強行手段を使ってでもおかしくないと思う。
今はまだ、誰もナンドロローナのことが理解できていないのが現実だからね。
ドーピング問題を扱っている権威筋の人たちですら、はっきりしたことは言わないし、選手だってどうなっているのかわからない状態で、ビクビクしながら検査を受けなければならない。
しかも、もっと問題なのは、いざというときに選手側にたって弁護してくれる機関が存在しないことだ。
誰もオレ達を擁護してくれない。 毎月毎月、スタムやペップのように犠牲者がでるのは、本当に不安なことだよ。


●機械はミスをしない (2001.12.3 スペイン
バルセロナ アンチ・ドーピング研究所 所長 ジョルディ・セグーラ博士が、アンチ・ドーピング検査に使われる機械についてインタビューを受けた。

00最初の質問です。機械がミスを犯す可能性がありますか。
00いいえ。これまでに関して言えばそれは不可能です。
特に、ペップのナンドロローナによる陽性反応を指摘したローマの器械は、私が主任を務めるバルセロナの研究室のものと同じで、非常に優れたものです。

00では、なぜナンドロローナによる陽性反応が、イタリアだけで発見されるのでしょうか。
00イタリアで何かが起きているということでしょう。
例えば、イタリアにおけるナンドロローナや、フランスにおけるEPOに関する法律は、他のヨーロッパ諸国と違い非常に厳しいという現実があります。
だからイタリアでは、アンチ・ドーピング検査研究室に対するプレッシャーは、スペインのものとは比べものになりません。

今回のペップの件にしても、グアルネージョ氏(裁判官)が、彼に関する全ての書類の提出を要求してきています。 しかもイタリアでは、一度陽性反応が出ると再検査を待つことなく、臨時処分ができる法律になっています。
イタリアで最近起こっているナンドロローナ問題に関しては、私もあなたと同じ気持でいます。 なぜイタリアだけで、しかも有名な外国人選手だけがナンドロローナによる陽性反応が出ているのか。 しかし、私にはそれに答えることはできません。


00機械が発見するのはその量だけであり、それは、意識的に取ったものなのかそれとも無意識になのかということは全くわかりませんよね。
00それはもちろんそうです。
ただ、アメリカ製の栄養剤としてのビタミン剤がナンドロローナによって汚染されている可能性はもちろんあります。
薬品に関しては常に厳しいチェックがされていますが、今のところビタミン剤に関してはそれほどチェックが厳しくないというのが現状です。


00検査室にスポーツ選手の尿が届いたとき、それが誰のものかわかるものでしょうか。
00それは不可能なことです。
検査を受けるための尿は数字だけがついて送られてくるため、それが水泳選手のものなのか、それともバスケット選手のものなのか、また、陸上選手のものなのかも全くわかりません。
ましてや選手の名前など、見当もつきません。


●ビタミン剤の16%はナンドロローナ入り (2001.12.2 スペイン
イタリアオリンピック協議会のドクター主任を務めるボトレ博士が師匠と仰ぐのがジョルディ・セグーラ博士。
バルセロナにある国立医学調査研究所のアンチ・ドーピング研究所の所長であり、同時にオリンピック協議委員の医師でもある。
彼は、昨日行われた"第3回・スポーツと薬学の関係シンポジウム"で、スポーツ選手に与えるビタミン剤の危険性について報告している。

《ジョルディ・セグーラ博士》
ほとんどのスポーツ選手が現在摂取している、ビタミン剤を中心とした栄養補給剤は、実に16%がナンドロローナに汚染されている可能性がある。
もちろんそれらの容器には、その可能性については一言も触れられていない。
さらに、どのビタミン剤にナンドロローナが含まれているかを調べるには、かなりの厳密な検査が必要だ。


●イタリアオリンピック協議会 (2001.12.1 スペイン
《ラファエル・パグノッチ氏》
   (イタリアオリンピック協議会議長)のインタビュー(雑誌"21世紀の世界"より)
個人的にはペップの無実を信じたい。
それどころか、モラル面から考えれば、どう考えてみても彼は無実だと思う。
つまり、これまでの多くのドーピング検査にひっかかった選手の場合と同じように、自分の意識しないところで禁止物質の摂取をしていると思われるからだ。
だが、検査の結果は尊重しなければならないのは当然のことだ。
再検査によって無実が証明されればそれにこしたことはないし、もし再び陽性反応が出たのなら、残念ながら処分に従うしかないだろう。


●メンディエッタ,デラペーニャ (2001.12.1 スペイン
イタリアでプレーしている他のスペイン人選手にとっても、ペップの置かれた状況は決して人ごとではない。
ラツィオでプレーするメンディエッタとデラペーニャも、ペップのことを非常に心配している。 弁護士たちと合流するためにローマに向かったペップを待っていたのは、この二人の暖かい励ましだった。
3人は2時間にわたって話し合った。
2人はペップの無実を信じるということを彼に伝え、彼を励まし続けた。


●再検査は12月6日 (2001.12.1 スペイン
ローマにある"アンチ・ドーピング"の研究室で行われるペップの再検査は12月6日と決まった。
翌日には結果がわかる見込み。


●ペップ、お帰りなさい。 (2001.11.30 スペイン
ペップは週末を利用して、バルセロナの自宅に帰ってくる。
早ければ金曜日の夜にはバルセロナに到着する予定になっている。


●この件に関して、ポボルスキーのコメント (2001.11.30 スペイン
ラツィオの選手でありチェコの代表選手でもあるポボルスキーが、自国でナンドロローナ問題に関して次のようなことを語った。

《ポボルスキー》
俺はね、イタリアの鶏肉が犯人だと思ってるんだ。
イタリアではどうやってヒヨコを育ててるか知ってるかい? ホルモン剤をやって成長を早めているんだ。
しかも鶏肉として商品になる3,4ヶ月前にも、まだそのホルモン剤を使っているんだよ。
だから、もし何かのミスがあったらその鶏肉からナンドロローナが入ってくるってわけさ。
昨日俺もドーピング検査を受けたけれど、これから1ヶ月近くビクビクして過ごすことになると思うよ。
だって俺はもちろん変な薬は飲んでいないけど、鶏肉はずっと食べていたからね。
もし検査で陽性反応でもでてみなよ、フットボールの選手にとっては大変なことだよ。
将来の道を閉ざされ、あらゆるメディアから責められ、そしてプロとしての生命を終わらせることになっちゃうんだから。おー、こええ!!


●カタルーニャ州首相もペップを援護 (2001.11.30 スペイン
カタルーニャの首相であるジョルディ・プジョーがペップに連帯の挨拶を送った。

《ジョルディ・プジョー》
声を大にして私の思いを公表したい。
それはペップへの連帯をここカタルーニャから送りたいということだ。
私は個人的に彼のことを知っている。
いつも正直で素直であり、偉大なスポーツマンであると共に偉大な人でもある。

先日、彼のところに私の心境を知ってもらおうと電話をした。
私は今回のことで非常に心配しているし、彼を元気づけてあげなければいけないと思ったからね。
とにかく、今回の出来事はとても残念に思っている。
それに、最近のイタリアにおけるドーピング騒動は何かおかしいと思う。
スペインでは何年間も問題はなかったのに、イタリアに行ったらいきなりというのが、いまだに不思議でならない。
私はもちろん彼は無実だと信じている。 何かビタミン剤だとかそういうものが原因で陽性反応が出たとしても、それは意識的に摂取したものではないことが明らかだ。
彼はそんなバカな人間じゃないよ。


●最高の制裁期間は2年間 (2001.11.30 スペイン
ラツィオ戦後のドーピング検査でも陽性反応が検出されたペップだが、この2週間という短い期間での二つの結果は一つのケースとして見なされるという。
つまり「再犯罪」とは認識されないということだ。
イタリアのアンチ・ドーピングの最高責任者である
ジアコモ氏はこのように語った。

《検査の裁定は》
2週間以内の検査による結果が同じ場合、それは一つのケースとして処理されるのが普通だ。 つまり、ペップの場合もどちらか一つの結果に対して異議を唱えれば良い問題になる。
いずれにしても、有罪となった場合の最高出場停止期間は2年間ということだと思う。

《イタリアの現状は》
イタリアの選手は今非常に神経質になっている。
最近のナンドロローナ問題は、彼らにとてもショックを与えているからね。
今までアメリカからのビタミン剤をとっていた選手も、今では誰もとろうとはしない。
それはナンドロローナに汚染されている可能性があるからだ。
だからイタリアの選手がとっているビタミン剤は、すべて薬局で売っているものだ。
安全でもあるし、問題が起きたときに無実を証明する証拠にもなるからね。


●スペインサッカー連盟が行った1535件のドーピング検査中、陽性反応はゼロ (2001.11.29 日本)
スペインサッカー連盟(RFEF)のアンチドーピング委員会は昨シーズン、1部、2部リーグ及びフットサルのトップリーグの選手を対象に1535件のドーピング検査を行ったが、陽性反応を示したものは1件もなかった。

RFEFのプレスリリースによると、ドーピング検査は、スペイン国内リーグ全試合、国王杯数試合、代表チームの公式戦及び親善試合、その他試合以外の場でも、薬学、人体生理学、心臓病理学、スポーツ医学、一般医学それぞれの分野の専門家によって実施されている。

最も重要な点は、マドリースポーツ理事会(CSD de Madrid)のアンチドーピング研究所でドーピング検査用に分析された検体全体で“陽性反応”が報告されたものはひとつもなかったという事実である。
しかも、サッカー選手のみならず数多くのスポーツ選手に対して検査を実施した同研究所は、世界でも最も権威ある研究所のひとつである。
RFEFでは、選手に処方されたいかなる薬類についても、各クラブのチームドクターが処方箋添付の上、処方の事実を文書で選手本人とRFEFの医学委員会に通知する義務が規定されている。
RFEFのアンチドーピング委員会は国内外の様々な機関が主催する会議にも参加しており、1991−92シーズン以来スペインサッカー界で実施されたすべてのドーピング検査の結果を保管してある。


●エスポーツ社説 (2001.11.29 スペイン
《なぜイタリアだけで陽性反応がでるのか?》
グアルディオラがスペインで何年間もとってきたビタミン剤が原因で、イタリアで陽性反応がでるというのは説明が不可能なことだ。それも2回にわたっての陽性反応である。
なぜなら、彼は同じビタミン剤をとっていたのにもかかわらず、スペインで幾度となく受けた検査では一度も問題がなかったのだから。

この事実から考えられることは、イタリアの検査がおかしいか、あるいはスペインの検査が子供だましのようなものなのかということだろう。
この答えは、早急に出さなければならない。

《誰が彼を騙しているのか?》
すべての状況を分析し、グアルディオラが我々の知っているグアルディオラである限り、誰かが彼を騙している可能性も考えなくてはならないだろう。

彼がナンドロローナをいかなる方法でも意識的に摂取することは絶対に考えられない。
したがって、誰かが(それは彼の信頼しているという人物まで含めて)意識的にナンドロローナ汚染されているビタミン剤をとらせたか、無意識で彼に渡した可能性もあるかもしれない。
いずれにしても、そのつけを払わされているのはペップであるという事実は変わらないが。

《彼のイメージを拭うことができるか?》
最初の陽性反応が出たとき、彼は全面戦争を誓った。
白か黒かのどちらかだと、中途半端な"恩赦"は拒否した。
だが、1−0の試合が昨日の2回目の陽性反応で2−0になった今、試合を振り出しに戻すのは、ほとんど不可能なことだとも思える。
機械は、一度はエラーを起こすことがあっても、2回続けてエラーするということは考えにくい。
したがって、今の彼の心境を考えると、我々は非常に辛くなってくる。
地理的に離れたところにいる彼に何か援助したいと思う我々にできることは、ただ彼の無実を信じることしかない。
しかし、彼の戦いは非常に厳しい段階に来ていることも確かだろう。


●ブレッシア会長、ペップを擁護 (2001.11.29 スペイン
個人的にペップを説得してブレッシアに連れてきたコリオーニは、どんなことがあってもペップを擁護していくと語った。

《コリオーニ(ブレシア会長)》
2回目の陽性反応は予想できたことであり、それほど驚いているわけではない。
我々は彼の無実を信じているし、これからも彼を擁護していく。
また、彼の無実を証明することは決して不可能なことではないと思っている。

考えてみるがいい。ペップがなぜイタリアまで来て薬に手をつけなければいけないんだ?
彼はすでに世界中にその実力を示している選手だ。
その彼が、いまさらなぜ、薬をとる必要性がある?
答えは明らかだ。無実に決まっているよ。


●ペップ、決意は変わらず (2001.11.29 スペイン
昨日の午後に発表されたラツィオ戦後の陽性反応は、彼にとって2回目の厳しい現実を知らされることとなった。

一時はショック状態にあったペップだが、昨日の深夜、ラジオ番組でいつものようにきっぱりと今後の決意を語った。

《ペップのインタビュー》
2度目の検査の結果に多少の期待を持っていたから、検査の結果を知ったときはショックだったよ。
でも大丈夫、もう気持は平静に戻っているよ。
もし4か月以内に俺の無実が証明されない場合は、引退も考えないといけないと思っているよ。
でも今は、とことん事実を追究していくつもりだ。モルモットになった心境でね。

何回も言うが、俺は何も違法なものはとっていないし、なぜこんな結果が出たのかということを、はっきり俺自身が知りたいと思ってる。

俺はこれまで、カタルーニャにいるときもイタリアに来てからも、ドクター・セグーラの用意したビタミン剤しか飲んでいないし、彼には今でも全幅の信頼を置いているんだ。
でも、今はわからないことがたくさんありすぎるから、事実を知るまで頑張るしかないんだよ。


●イタリアからの情報 (2001.11.29 スペイン
ペップにとってはショックな現実。
2回目の陽性反応の結果に加えて、ペップの尿から検出されたナンドロローナの割合の高さだ。
まだ公表されていないものの、イタリアメディアはこれまで提出された割合で最高の数値だと伝えている。
ユーベのダービッツやデブールの量を遙かに超える数値だという。
もしこれが事実だとすれば、彼の体内からの自然発生説は絶望的なものとなる。


●ペップ、ショックを受ける。 (2001.11.29 スペイン
クリスティーナ(ペップの妻)は、2度目の陽性反応が発表された直後のペップの状態を語った。

《クリスティーナ》
彼はとてもショックを受けています。それもかなりのショックを。
彼は今、何もしゃべりたくないといっています。
弁護士の人たちもすぐに連絡してきて、余計なコメントは避けるようにって言っていました。
とにかく今の彼の状態は最悪です。信じられないことばかりが続いているのですから。


●ペップ、再び陽性反応 (2001.11.29 スペイン
まだ再検査も済ませていないペップに、再びショックなニュースがやってきた。

11月4日のラツィオ戦の後に行なわれたドーピング検査で、再び陽性反応の結果が出たからだ。
イタリアオリンピック協議会の発表によれば、これも同じナンドロローナによる陽性反応。


●グアルディオラに再びドーピング陽性反応 (2001.11.29 日本)
イタリアオリンピック委員会(CONI)は現地時間28日(以下現地時間)、スペイン代表MFでセリエA・ブレッシャに所属するジョゼップ・グアルディオラのドーピング検査で、再び陽性反応が出たことを発表した。  

CONIによると、検査用サンプルは、11月4日の第10節ラツィオ戦のあとに採られたものだという。 グアルディオラについては先週、10月21日のピアチェンツァ戦後のドーピング検査で、規定量を超えるナンドロロン(筋肉増強剤)が検出されたとの発表がなされたばかりだった。  

グアルディオラは、同じくドーピング陽性反応が出たオランダ代表DFでラツィオのヤープ・スタムとともに、試合への出場停止処分を受けている。

スペインに帰国しているグアルディオラは 「再検査も陽性になることを想定して、どうやって無実を証明するか、弁護士と相談中だ。疑いが晴れるまでは、イタリアに戻るつもりはないよ」 とコメントしている。  

グアルディオラは現在、10月に採られたサンプルに対する再検査の結果を待っている状態。だが2度目の陽性反応が出たことで、ラツィオ戦後のサンプルについても再検査を要求せざるをえなくなった。
なお昨シーズン、セリエAおよびBでは9選手にドーピング陽性反応が出ているが、同一選手から2回以上検出された例はない。


●なぜイタリアでばかり? (2001.11.29 スペイン
セリエでは、この1年間でナンドロローナによりドーピングにひっかかったフットボール選手は、グアルディオラが10人目になる。
(名前のあとの数値はナンドロローナの数値。フットボール選手の場合は2.0までが許容される数値)
アンドレア・ロード(ペスカラ) 4.0    
    200009.14  制裁=16ヶ月  控訴後=8ヶ月
クリスチャン・ブッキ(ペルージャ) 4.5    
     2000.10.14  制裁=16ヶ月  控訴後=8ヶ月
サルバトーレ・モナコ(ペルージャ) 3.2    
     2000.10.14  制裁=16ヶ月  控訴後=8ヶ月
ニコラ・カッチア(ピアツェンツァ) 4.1    
     2000.12.23  制裁=10ヶ月  控訴後=4ヶ月
ステファノ・サケッティ(ピアツェンツァ) 4.0    
     2000.12.23  制裁=10ヶ月  控訴後=4ヶ月
Jean-Francois Gillet(バーリ) 3.0    
     2001.01.21  制裁=10ヶ月  控訴後=4ヶ月
フェルナンド・コウト(ラツィオ) 3.5    
     2001.01.28  制裁=10ヶ月  控訴後=4ヶ月
エドガー・ダービッツ(ユヴェントス) 3.4    
     2001.03.04  制裁=5ヶ月  控訴後=4ヶ月
ヤープ・スタム(ラツィオ) 5.2    
     2001.10.13  再検査中
ペップ・グアルディオラ(ブレシア)     
     2000.10.21  再検査中


●マッゾーネ監督、ペップを擁護 (2001.11.28 スペイン
ブレシアの監督マッゾーネは、告発のあった最初の瞬間からペップを擁護している。    

《マッゾーネ》
重要な試合の前に、私はいつもクラブドクターに頼むことがある。 それは、普段以上にビタミン剤を選手に与えてくれということだ。 もちろんビタミン剤だけだ。それも100%のビタミン剤を。

だがね、私はこの世界に長くいるんだが、どうも悪いヤツがいるんだな。
わけのわからんヤツが時々更衣室から出てくるときがある。
どうも選手に"これは凄くいいビタミン剤だから"といって渡しているらしいんだな。
ペップの場合がどういうものか私にはわからないけれど、こういうヤツこそ告発されなければいけないんだ。


●弁護士たちとの最初の接触 (2001.11.28 スペイン
ペップはローマで彼の弁護を務める協力者たちと最初の会合をもった。
集まったメンバーは、トマッソ・マルケッシ(ペップの親友、現在ブレッシア水球クラブの会長をしているエスティアルテの紹介による弁護士)とコル・ヘーリンマン(デブール事件のときの弁護士)、そしてペップの代理人であるオロビッチの4人。

会合は12時30分に始まり、延々6時間も続いた。 この会合では、告発に対してどのような立場で戦っていくのかということを重点として話し合われたようだ。

結論としては、彼ら独自で各種の検査を行い、その結果をもってペップの無実を明らかにしていこうというもの。

同席したオロビッチによれば、ペップは非常に元気であり、この戦いが長くなるであろうことを覚悟しているという。
また、完全な無罪が証明されるまで裁判闘争はつづけるつもりであり、中途半端な"恩赦"は受け付けないつもりだという。


●ナンドロローナってなんだ? (2001.11.28 スペイン
ペップが摂取したといわれているナンドロローナという物質は一体何なのか。

一部では筋肉増強剤と言う表現が使われているが、これは薬の名前ではない。

ナンドロローナは男性ホルモンと同じタイプのもので、人体で作られるものだ。
ただし、現在の医学では、どの程度の量が人体で作られるのかいまだ解明されていない。
それにナンドロローナは、注射,飲み薬、塗り薬からも補給できる(これがドーピングとして問題になる)。 しかし、いくつかの食べ物の組合せで供給もできる。
また、この他にも豚,馬などの体内で作り出すことがわかっており、これを食べた人の体内ナンドロローナの量にも影響があるといわれている。

ナンドロローナの作用は、まず、筋肉増強があげられる。
ただし、場合によっては肝臓障害や鬱状態を引き起こすこともあるという。
また、ナンドロローナに関しては、陸上や重量あげの選手達の間で、今年だけでも10件以上のドーピング問題が起こっている。


●無実か引退 (2001.11.27 スペイン
時は容赦なく過ぎていく。
だがペップ・グアルディオラは、彼の無実が証明されるまで戦い続けるつもりでいる。
これまで築き上げてきた名声と誇りが傷つけられてしまった今、彼は無実が証明されるまではフットボールの世界には戻らない覚悟を決めた。

彼の一番好きなこと、それはフットボールをすること。
いわれもないドーピング問題でそれが不可能とされたことに対して、彼はすべてをかけて戦いに挑む。
そして、ほんとうのことが明らかになるまで彼の戦いは続く。


00まず、何をしないといけないと思ってますか。
00まず最初に、すべての可能性を知ること。明日の弁護士との打ち合わせの目的の一つはそれです。
その後、陽性反応が出た原因を知ること。つまり、科学的な分野での知識にを得ること。
再検査の際の結果の可能性についても考えないといけないので、推測や仮説をテーマにした話し合いになると思う。
もちろん弁護士には私へのいわれのない告発に対し、無実を科学的に証明する方法を追求してもらいたいと思っています。


00結果次第では、1年間プレーできない可能性があるわけですが。
001年とか2年とかの制裁が出た後で、恩赦という形で何ヶ月に減刑するようなことは望んでいません。
恩赦という形で何ヶ月か後に試合に戻ることになったとしたら、多くの人々は私が薬物をとったと思うだろうから。
つまり、私はそういう判決が下りたとしても、最終的に裁判で無実が証明されるまでピッチには戻るつもりはありません。白か黒かはっきりするまではね。


00ということは、ワールドカップ出場も危ぶまれますね。
00私の無実が証明されるかどうかということに比べれば、僕の中ではワールドカップなんて小さいものだよ。
それは、自分の年齢を考えれば最後のワールドカップだとは思うけれどね。

でも、自分にとって最も重要なことは、ここまで築いてきた自分の名声に関わる問題だから。
もし、子供たちの間で僕が少しでもアイドルとして存在してきたことがあったとすれば、その子供たちが何と思うか。僕は彼らを裏切ることはできないよ。
1ヶ月、あるいは1年、10年、たとえ20年かかろうとも、無実を証明するのが私の任務だと思っています。


00今回の事件で、あなたは周りの反応にとても傷ついてるように思えますが。
00イタリアのメディアは、一切私を擁護しませんでした。
問題が表面化してからまだ数日しか経っていませんが、私のプライドを傷つける時間としては十分なものでした。
私の無実が全世界に証明されるまで、そして誰一人として私に疑いの目を向けることがなくなるときまで、私はフットボールの世界には戻らないつもりです。
もし、その時、私を必要とするクラブ、私を信じるクラブ ― それがブレシアであれば最高ですが ― があったら、その時初めてピッチに戻ろうと思います。


00長い戦いになりそうですね。
00今僕は自分の意志とはまったく関係のない、強いられた状況の中にいます。
この状況がいったいなぜ発生したのか、それを知る権利と義務が僕にはあると思っています。

僕は自分が無実なのがわかっています。だから、これからどれだけ時間がかかろうと無実を証明できるはずです。

しかし、イタリアは難しい国です。これまでこの国で多くの選手がドーピング検査にひっかかり、有罪となりながらも恩赦という形で、数ヶ月の制裁という形でプレーを再開しています。
でも、それは決して無実を証明したことにはなっていません。
私はこれからのことも考えて、無実が証明されるまでは決して戻らないつもりでいます。


00あなたを信じてる人は多いと思います。
00僕を知っている人はもちろん信じてくれているでしょう。
カタルーニャやスペインの人々は私を信じてくれています。でもそれだけでは裁判には勝てない。 "
これだけ私を信じている人がいます"と裁判で言ったって仕方ないんですよね。
具体的に証明するものが必要なんです。科学的にも、あるいは何らかの形で無実を証明するものがね。

裁判は確かに長くかかるでしょう。でもそれは自分のためでもあるし、これからも同じように無実であるにも関わらず告発されるであろう人のためにも、僕が頑張らないといけないと思っています。

これまで、過去を引きずって歩いているたくさんの人を見てきました。
僕はそういう生き方をしたくない。
ゆっくりでもいいから、まっすぐに歩いて生きたいと思っています。
今まで私を愛してくれていた人々から後ろ指をさされる生き方はしたくはありません。


00イタリアのメディア、オリンピック協議会、フットボール協議会はあなたの有罪が確定する前にあなたに制裁を加えましたね。
00僕は自分を弁護する時間も与えられず、いきなり法律は動き始めました。
でも僕はもう止まらない。
僕が必要としている多くの援助とともに、なぜこんなことがおきたのか必ず証明するつもりです。


●ペップ特集 (2001.11.26 スペイン
ペップに対して疑いがかけられているナンドロローナ騒動は、一時的な出場停止というフットボール選手にとって致命的な処分を生んでいる。
しかし、ペップにとってこの騒動は二重に大きなショックでもあった。

彼には、ミランへの移籍問題があった。
ここ数日、ペップとその代理人は来シーズンからのミラン移籍の可能性について検討していた。
しかもミラン側との接触はすでに開始されており、ほぼ両者間により合意が近づいている状態でもあった。

しかし、ふってわいたペップのナンドロローナ問題。
合意に達していた条項は保留になったまま、この問題が解決するまで交渉は凍結することとなった。

そしてもう一つの契約、これは選手生命とは関係のない契約だが、ナイキと結ばれていた"スポット"の話しもいまのところ凍結してしまっている。
来春用に用意されていたペップによるナイキのCMができることになっていた。
しかし、ナイキ側もミランと同じく、この問題が解決するまでは様子をみることになった。


《ペップ、我々は君と一緒だ!》
難しい状況を抱えているペップに対し、昨日の試合でペップを励ます応援をしていたブレシアファンたち。
少なくともペップは、その暖かい声援から、自分は孤立してはいないということを感じただろう。
この問題が表面化してからのブレシアファンの反響は早かった。
     「我々はペップを信じている」   
     「ペップ、元気を出すんだ!」   
     「我々は、いつも君と一緒にいる!」
これらのペップに対する暖かい支援が、昨日の観客席の中で多くのファンによって表明された。
ブレシアの選手たちも昨日の勝利をペップに捧げている。


《明日、デブールの弁護士と合流》
ペップは一日の休みもなく、無実の証明の準備に入っている。
今日はブレシアのドクターであるエルネスト氏を通じて、具体的にどのくらいの量のナンドロローナが検査にひっかかったのか知ることができるようだ。

このナンドロローナの数値については、今のところ正式発表がなされていない。
また、エルネスト氏はペップがいつもとっているビタミン剤は、オリンピック協会が許可しているものであるということを公表している。
2週間後に行われる再検査に備えて、ペップ側はデブールの擁護を行った弁護士ヘリングマンと明日にでも接触をとる。


●ペップの戦い (2001.11.25 スペイン
グアルディオラの無実を証明するための、厳しい戦いが始まろうとしている。

木曜日に公表された衝撃的なナンドロローナによる陽性反応に対する"無実"を勝ち取る戦いは、まず、イタリアオリンピック協議会に対し、検査自体がおかしいというところからの告発で始まる。
デブールの擁護にあたったヘリングマン氏が新たにペップの弁護士として就任し、彼は最初にフットボール選手組合に連絡をとり協力を要請している。


●カンプノウ、ペップとと共に! (2001.11.25 スペイン
昨日カンプノウに集まった多くのバルセロニスタは、ペップに対する援助の垂れ幕を用意していた。
しかも、それは単にファンだけではなく、バルサの首脳陣も昨日の試合に集まったメディアに対し、ペップへの援助と団結を訴えていた。


●ペップを信じる人たち (2001.11.24 日本)
レアル・マドリッドのスペイン代表DFフェルナンド・ルイス・イエロ、ポルトガル代表MFルイス・フィーゴが、ドーピング検査でナンドロロンが検出されたブレッシアのスペイン代表MFジョセップ・グアルディオラ・サーラについて語った。

《イエロ》
私の意見を言わせてもらうと、グアルディオラには何の罪もありません。
彼は12年のキャリアの間にスペインで40近くのテストをこなしてきました。
それなのに、イタリアでした初めてのテストで失敗したんです。

私はペップをよく知っています。彼は誠実な人だ。
イタリアのドーピング・スキャンダルに巻き込まれたほとんどの選手が外国人というのは奇妙ですね。

《フィーゴ》
ペップと話しをしました。彼には罪がありません。
我々はペップを助けなければなりません。 2回目のテストは1回目のテストの結果と同じものが出る可能性が非常に高いんですから。


●俺は無実だ! (2001.11.24 スペイン
木曜日の衝撃的な知らせを受けた後、ペップ・グアルディオラは昨日の午後に記者会見を召集し、メディア,関係者の前に姿をあらわした。

傷ついてはいるが落ち込んではいないペップ。
プライドを傷つけられたことに怒りをあらわすものの、表情は冷静を保とうとしているペップ。
彼からは、最後まで戦い抜くというかたい決意がうかがえた。

グアルディオラは、今まで考えてもみなかった最も難しい試合を前にしている。
10年以上もプロフットボール選手として500試合以上に出場し、ナショナルチームの選手としても50回近くもプレーしているグアルディオラにとって、初めて経験する新しい試合。 それはドーピングとの戦いだ。


《グアルディオラ》
俺を沈めることはできないということを証明してみせるよ。

カルッチオに来たのは肉体的に強くなるためでも、スピードをつけるためでもない。
単純にフットボールをしたいから来ただけだ。
もちろん、最後の最後まで弁護士とともに戦う決意でいるよ。
最後にはきっと俺が勝つだろう。

何かがイタリアに起こりかけている印象は拭えないよね。
ある機械が俺が薬物をとったと言っている。そして人間の俺がとっていないと言っているんだ。
最後にはどちらが正しいかはっきりするだろう。

ワールドカップ出場のことなど、今はまったく考えられないよ。
唯一の望みは、誰に邪魔されることなく練習ができて、試合に出られることだ。

《イタリアメディア、ペップを攻撃》
イタリアの多くのメディアは、ペップに疑いの目を持っている。
陽性反応が出た原因は、彼がスペインから持ってきた薬物ではないかという見解を出している。
また同時に、やはりペップがスペインから持ってきた複合ビタミン剤の内容についても疑問の声をあげている。

《スペインメディア、ペップを擁護》
元バルサの同僚たちはもちろん、ほとんどのリーガ関係者はペップの無実を信じている。
10年以上もリーガでプレーしてきたペップを知る人々たちは、彼の薬物問題はとうてい考えられないことなのだろう。
リバウドやヨハン・クライフも自分のwebページで、ペップの無実を信じると表明をしている。

《今後のペップ》
2週間後に行われる再検査次第で再び陽性反応が出たとすると、6か月から2年にわたっての制裁になる可能性がある。
だが、たとえそうなったとしても、これですべてが終わるわけではない。
彼の元にはデブールを擁護した弁護士が協力の意思を表明しており、多くの専門家による彼の無実を証明する手段が用意されるようだ。


●グアルディオラがドーピング (2001.11.23 日本
イタリア・オリンピック委員会は、ブレッシアに所属するスペイン代表MFジョセップ・グアルディオラ・サラの薬物検査で、ナンドロロン陽性反応が検出されたと発表した。
対象となったのは10月21日のピアチェンツァ戦後に行われたもの。

これにより、即時に出場低停止処分が科され、2度目の検査結果が出てから、最終的な処分内容が決定されることになる見込み。


●グアルディオラ事件 (2001.11.23 スペイン
ペップ・グアルディオラは昨日、衝撃的なニュースを受け取った。

ナンドロローナによる陽性反応。

紆余曲折の後でブレシアに入団して、ようやく精神的な安定と笑顔が戻ってきたこの時期に、彼にとっては突然のあまりにも衝撃的な、信じることのできない知らせだった。

ブレシア水球クラブの会長であり、水球界のマラドーナとも呼ばれたエスティアルテ氏(カタラン人:ペップの親友)は、最近のイタリアで起こっているドーピング問題に疑いを持っている一人だ。
イタリアではなぜ、外国人ばかりに、それもナンドロローナによる陽性反応ばかり出るのか。
オリンピック協議委員でもあるエスティアルテは、再検査はイタリア以外のところで行うべきだと主張する。

だが昨日、もう一つのショッキングな事件が起きていた。
スペインの競輪選手ジョアン・リャネーラスが、以前の検査で陽性反応が出たことにより再検査を行った結果、その検査では陽性が出なかったのだ。
自転車界とフットボール界に吹き荒れるドーピング問題。

もう、オリンピック協議委員会を中心としてのドーピング検査自体の見直しが必要な時期にきているのではないか。
誰がペップの薬物使用を信じるというのか。
彼は元々、体力増強を必要としない選手ではなかったか。 バルサ選手として、幾度となくドーピング検査を行ってきたにも関わらず、これまで一度も問題がなかったペップである。
そして、今回、イタリアでのこのドーピング問題。

我々は、この場を通じて、ドーピング検査そのものの見直しを要求したいと思う。
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